地方の個性化を考える
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地方の個性化を考える

地方を世界に発信する表札・ダイナミックアートを創る

巨大ステンレス彫刻家 中嶋大道

現在、どこの自治体でも「これからは観光事業が地方の主な産業になる、ならざるを得ない」と、異口同音に言っております。しかし既に行われてきた、人まね町おこし事業、安上がりの大騒ぎイベント、何回でも一斉スタートのマラソンのような○○ブランド作り等々… これらは本当に、地方を外に向かって発信できたのでしょうか?私は、この事が、観光事業に一番大事な土地の個性・風土を、なし崩しにしてしまっているように思います。集団自己催眠にかかっているか、集団妄想のように見えてきます。
小さな箱の中で、ドングリがひしめき合っているだけではないでしょうか。

地方には、素材が多くは有りません。無いから田舎です。数少ない素材の中から確かなイメージを作り出さなくてはなりません。
イメージは、人の好奇心を誘導する表札です。イメージがなければ存在感がないのです。表紙にタイトルがない本が並んでいる本棚の前に立っていることと同じで、選び様がありません。

地方は、風土という表札を掛けることを忘れてきたのではないでしょうか。旅行に出る人たちの多くは、明確な目的を持っているとは思えませんが、幾つかの旅行会社のパンフレットの表紙に大きく出るくらいの努力は必要です。これが地方のイメージ作り、ブランド作りに繋がります。地域のイメージが固まってくれば人が集まります。外から人が集まるようになれば、その人たちに向けたイベントも必要になります。今までとは逆の発想で、箱を壊すように、ドングリの中にヤシの実を投げ込むことです。
イメージ作りの初期投資としては少し高額になりますが、風土を芸術に昇華したもので度肝を抜くモニュメント(ランドマーク)を一番良い場所に作り「とんでもないものがあるぞ。行ってみよう!」と、人の心を動かすことが、一番大事だと考えます。
人が創り出した「一目瞭然の日本一のモノ」があると発信できれば、外国の人たちも目を向けるはずです。
地方の表札作りを、始めましょう!

Gigantic Insect Statues, created by Daido Nakajima,
the world’s one and only stainless steel sculptor and contemporary art maestro.

原画を描く −いきいきとしたモニュメントを作るために−

作品 デザイン図
大道は、ステンレス板を使って昆虫のモニュメントをたくさん作ってきた。その際参考にした標本や図鑑等に載っている虫たちは、どれも動きが感じられなかったという。

一方、図鑑等の絵や写真を拡大して見たとき、小さい絵では分からない色々な形が見え大いに感動した。

そこで大道は、生き生きとして細部の形も良く分かる昆虫の絵を描きはじめた。A1サイズやA0サイズの紙に描いた昆虫の絵は、数百枚になり、並べると100メートル以上にもなる。

また、自分で昆虫採集をして生命感と独特の動きがある標本まで作ってしまった。さらに虫好きが高じ、昆虫に関する文字や家紋を書き写した巻物も作り “昆虫の文化を採集”をしている。

大道の作品に感じるリアリティ、生々しさは、このような昆虫との対話から生まれるのではないだろうか。

原画を描く原画を描く原画を描く
1944年 長野県安曇野市穂高(旧穂高町)に生まれる。
1966年 岐阜県高山市にて木彫の修行をし、生家に戻って独立。
床置物、仏像、欄間等を制作。木彫の作品はこちらから
1979年 アトリエ建設(鉄骨の作業場及び自宅)
従来は木彫に従事していたが、アトリエ建設時に鉄骨を溶接して組み立てていく様を見て「おもしろい!」と感じ溶接の技術を学ぶ。アルミ、真鍮、鉄等の素材に挑戦し、試行錯誤を重ねてステンレスにたどり着き「ステンレスを溶接して、誰も見たことも作ったこともない作品を作り出す」という独自の世界にのめり込んでいく。
1983年 日展、彫刻部門にカマキリをモチーフにした「エアロビクス」を初出品、入選。
2004年(60歳)までに9回入選。
1998年 大きなモニュメントを制作するために、現住所にアトリエと自宅を移転。